猫の不思議な生態 ②

第4章 猫の不思議な生態

前回に引き続き、私たち猫のちょっと不思議でロマンに満ちた生態にひっさkていきましょう。
案外猫自身も気づいていないこともお話ししますので、猫諸君も飼い主さんもしっかり学習してくださいね。

猫ならではの生殖機能

私たち猫は人間は同族であると思っていますが、生殖機能の部分で決定的な違いがあります。それは繁殖に伴う排卵の仕組みについてです。
人間や犬は時期が来ると自然に卵子が排卵されて卵管にやってくる「自発排卵」で、そこにたまたま精子がいると受精して子どもができるシステムですが、私たち猫は「交尾排卵」という野生種ならではの優れた仕組みを持っています。

これはまだ私たち猫が野生だった時代、自然の中で暮らしていたので、いつ理想のオスと巡り合うかもわかりません。
そんな生活環境の中では自然に排卵された卵子が死んでしまっては無駄になってしまうので、私たち猫は交尾の刺激によってはじめて排卵するという「交尾排卵」のシステムを持つようになったと言われています。
この誘発排卵のおかげで受精の確率が高まり子孫繁栄につながるという、実に合理的な仕組みになっているのです。

その反面、発情したときには子孫を残すために本能的に交尾を求めて、それができないと強いストレスになる場合があります。
室内飼いの猫に避妊手術を選択する場合があるのは、こういった理由があるのです。

必殺技「アゴのせ」の謎

ついつい飼い主さんの腕や足の上に、アゴを乗せてしまうことがあるわけですが、このポーズはほとんどの飼い主さんから絶賛されて概ね好評です(笑)。
飼い主さんのみならず、ソファの肘掛けだったりベッドのフチだったり、ちょっとした高さがあれば乗せちゃったりしますね。
心情的にはリラックスした安心感の現れだと思います。
私たち猫のアゴにはフェロモンなどを出す臭腺があるので、匂いをつけることで自分の縄張りを周囲にアピールしているフシもあります。
自分では無意識にやってる行動なのでなんですが、気が緩んでいることは間違いないです(笑)。
ちなみにアゴを乗せている関係で少々変な体勢で寝ていることがありますが、私たち猫はカラダの柔軟性が高いので寝違えたりしません(笑)。

猫のこだわりはハンパない

私たち猫は、嫌なことは頑なに受け入れないし、逆に気に入ったことは何度でも繰り返したり、自分自身のクセが強い生き物だと自負しています。
猫の「こだわり」は生活環境によって様々ですが、もともと縄張りを持ち、単独生活者だったので、自分のとった行動が直接生死に関わるかもしれず、こだわりがより強くなっていったと思われます。

人間と暮らすようになった現代では、安全な環境と引き換えに猫の「こだわり」は多様化するようになり、個体差がますます大きくなっているのかも知れません。
野生の頃はカラダが濡れるのは嫌いだったのに、今はお風呂が好きな猫がいるくらいですからね(笑)。
皆さんのところの猫も個性豊かで、時にはハンパない「こだわり」を持っていると思いますが、それが「猫らしさ」なのだと暖かい目で見守ってくれたらと思います。

鼻紋ビジネスの可能性⁈

私たち猫には「指紋」はありません。ツルツルで柔らかい肉球があるだけですね。
でも実は、指紋と同じような個体識別ができる指紋ならぬ、「鼻紋」があります。
聞きなれない言葉だと思いますが、文字のとおり、猫の鼻にある模様です。人間の指紋のように猫それぞれでみんな違うのです。同じ種族や一卵性双生児、クローンであっても個体で差が出るもので、一生変わる事はありません。
その昔、この猫の鼻紋を真面目に考えて猫の登録に役立てようと考えた会社がありました。
猫の鼻写真から識別情報を抽出してデータベースを作って、個体の管理・検索等を行うことを考えたのです。これによって世界に1匹だけの猫が簡単に識別できますから、かなり飼い主さんにウケるのではと思ったのですね。
「鼻特徴情報生成装置及び鼻特徴情報生成プログラム」という大層なネーミングでビジネスを始めましたが、時代がついてこれなかったのか、当時はビジネスとしては成り立たず、やがて立ち消えになったそうです(笑)
今では、アメリカでは猫の鼻紋ネックレスを作ってくれるサービスもあると言いますし、もしかしたらあなただけの「鼻紋ビジネス」を考えれば、当たるかもしれませんよ!


※イラスト/しげるさん(イラストAC)