私たち猫を上手に取り扱うために、私たち猫の生態について少しお話ししましょう。
先にもお話ししましたとおり、私たち猫は人間のことを「ただデカイ猫」と思っていますが、これは人間に対して対等に思っているということです。
私たち猫は、自分より下に見ている猫に対してはゴロゴロと喉を鳴らしたり、スリスリするといった行動はとりません。でも人間に対してゴロゴロと喉を鳴らしたり、スリスリするということは対等に思っている証なのです。
だから、もう少し人間は猫に対して自信をもってくれたら良いのにと思う時もあります。
でもね、人間はちょっとだけ、調子に乗るところがあると思うのです。
例えば、たまに撫でてほしいなと人間に近寄ると、それに気づいて撫でてくれることはうれしいのですが、もういいって言ってるのにしつこく撫でられるので、ついガブッと飼い主さんの手に噛みついたりすることがあります。
この「ガブッ」は愛撫誘発性攻撃行動と呼ばれていて、猫界の動物行動学では認められている行為です。
撫でる時間が長かったり、撫で方が気に入らなかったり、私たち猫からするともうやめてのサインを出しているのに気づかないあなたたち人間が悪いのです(笑)。
もうやめてのサインは、尻尾を振る、耳を横にする、顎などを押し付ける力が弱くなるなど、
ちょっとしたしぐさでアピールしていますので、撫でながら猫の様子を観察してくださいね。
また、本などに書いてあることはすべてそのとおりだと思い込んでしまう方、けっこういますよね?
そのような飼い主さんは自分で検証するという考えがないので、私たち猫のことはすべて同じ猫だと思い込むところがあるのではないでしょうか。
でも十猫十色ということわざがあるように(笑)、猫によって性格はかなり違います。
本に書いてあることをやる猫もいれば、まったくやらない猫もいるのだということを知っておいてください。
それでは、私たち猫のちょっと不思議でロマンに満ちた生態について、お話ししていきましょう。
フレーメン反応とは?
私たち猫が匂いに反応して、口をポカーンと開けてしまうあのしぐさをフレーメン反応と言います。ご存知だとは思いますが、ものすごく臭くてあの顔をしているわけではありません。
私たち猫からすると、フェロモンなど匂いの情報をより多く集めるために口の中にあるヤコブソン器官をフル活用して、より多くの匂いを取り入れようとしているワケです。
私たち猫だけでなく、ウマやウシやヒツジなど哺乳類の多くはフレーメン反応は当たり前のことなのです。
ついでに言うと、ヤコブソン器官はもともとは口腔内の食べ物の匂いを感じる器官であったと言われていて、あなたたち人間にもあったモノなんだって。
なぜか今は退化して使われてないそうです。
首もとをつまむと猫はおとなしくなる
皆さんも母猫が子猫の首もとをくわえながら歩いている姿を見たことがあるでしょう?これは人間にたとえると赤ちゃんを抱っこをして歩いているようなもので、子猫を外敵から守るために移動したりするときにする行動です。
子猫の方も首もとをくわえられると母猫がすばやく自分を運べるように瞬時にカラダの力を抜いて脱力する術を生まれながらに身に着けています。
子猫が、首もとをつままれると瞬時に体の力を抜く反応は、クリップノーシスと呼ばれ、獣医学では「PIB(I Pinch Induced Behaviora Inhibition)と言われ、日本語にすると「つまみ誘発性行動抑制」と言います。
この反応は成猫になっても残っている場合もあり、実際に「PIBI」の習性を利用して、動物病院の看護師さんが猫に負担をかけず速やかに検査を終わらせるために、首もとの皮膚をいくつかの洗濯ばさみで挟むこともあるそうです。
また災害時の避難など、この首もとをつかむとおとなしくなる習性を利用することもできます。
但し成猫のうなじをつまんだまま持ち上げるのは猫に負担がかかるので絶対NGです!
ハイライズ症候群
私たち猫には、ハイライズ症候群、またはフライングキャットシンドロームと呼ばれる厄介な生態があります。
もともと猫は運動能力が高く、少々の高さから飛び降りても問題はありませんが、ハイライズ症候群の猫は数十階、あるいは数十m単位の高さから突然飛び降りることがあるのです。
私たち猫は近眼で、6m以上先はあまり見えていないと言われていて、それ以上の高所になると距離感がつかめず、普通の感覚で飛び降りてしまうのではないかと考えられていますが、私は飛び降りたことがないのでよくわかりません。明らかな原因はいまだ不明だそうです。
とにかく、2階以上で猫を飼っている方は低層階だからと安心してベランダに猫を出さない、窓を開けっ放しにしないなどを徹底することが最大の予防になります。
▶猫の不思議な生態 ②へ続く
※イラスト/しげるさん(イラストAC)